高品質なダイカストを実現する金型設計のポイント
金型に金属を流し込んで製品を製造するダイカストにおいて、金型は製品の形状から品質まで全てを決定する非常に重要な部品です。そんなダイカストの金型設計のポイントについて徹底解説いたします!
ダイカスト金型の製造方法
ダイカスト金型は、ダイカスト製品を作成するための重要な部品です。金型は、製品を製造するたびに何度も使用し製品の品質に大きな影響を与える為、耐久性や高い精度を持つ必要があります。そのため、製造する際には「設計」「材質の検討」「製作」といった各工程を高い技術力で高品質に対応する必要がございます。
一般的なダイカスト金型の製造方法は、「鋳造」、「切削」、および「熱処理」の工程を経ています。これにより、金型の耐久性と品質を確保することができます。
ダイカスト金型の設計の手順
ダイカスト金型の設計は、以下の手順に従って行われます。
製品の設計および要件の確認
最初に、ダイカスト製品の設計および要件を確認します。製品の形状、サイズ、材質などを把握することが重要です。要件の確認もれがあると、金型を製造し、ダイカスト製品を製作した際に要求仕様をクリアできず手戻りが発生し無駄なコストや工数が発生してしまいます。
金型の構造設計
次に、金型の構造を設計します。金型の形状や、使用する材質、ゲートの位置などを考慮して設計します。精度の高いダイカスト製品を製作するためは、この構造設計を徹底し、過去の改善点やノウハウなどを反映させた設計とすることが重要です。
材料の選定
適切な材料を選びます。先ほど説明したように、高硬度なSKD61などが使用されます。
製造工程の計画
金型の製造工程を計画します。鋳造、切削、熱処理などの工程が含まれます。
検査と修正
金型の製造が完了したら、品質を確保するために検査を行います。必要な修正があれば、修正を行います。金型の製造元と、ダイカスト製品の製造元が違うと検査や修正のために金型を運搬する必要があり、修正に時間がかかるとともに、無駄な工数が発生してしまいます。
ダイカスト金型の設計の重要性
ダイカスト金型の設計は、製品の品質や生産効率に直結します。適切な設計がなされていない場合、製品の欠陥や品質の低下が起こる可能性があります。また、効率的な生産を行うためには、金型の加工やキャビティの配置など、設計の最適化が必要です。
重要性について、5つのポイントに分けて詳細にご説明いたします。
製品品質の向上
金型の設計によって、製品の形状や寸法の正確性を確保することができます。適切なゲートの位置や冷却水路の配置などを設計することで、良質な製品を生み出すことができます。
生産性の向上
金型の設計には充填性や冷却効果の最適化が含まれます。充填性の最適化により、溶融金属の流れをスムーズにすることで、製品の充填性能を向上させ、効率良く生産することができます。
製造コストの削減
金型の設計によって余分な材料や加工工程を削減することができます。最適な形状と冷却効果の設計により、冷却時間を短縮し、生産コストを削減することができます。
耐久性と寿命の向上
金型の設計は金属疲労や摩耗を考慮して行われます。適切な材料選定や設計により、金型の耐久性と寿命を向上させることができます。
柔軟な製品開発
金型は製品の形状を決定する要素です。適切に設計された金型は、様々な形状やデザインの製品を生み出すことができ、市場のニーズに対応した柔軟な製品開発が可能となります。
金型設計はダイカスト製品の品質、生産効率、コスト削減、耐久性、製品開発の柔軟性において重要な役割を果たしています。適切な金型設計を行うことで、より優れた製品を生産することができます。
ダイカスト金型の設計のポイント① ゲート設計
ゲート設計は、ダイカスト金型設計の中でも非常に重要な要素の一つです。ゲートは、溶融金属が金型内に流れ込む入り口となる部分であり、製品の品質、寸法精度、そして生産効率に大きな影響を与えます。適切なゲート設計は、製品の充填状態を最適化し、鋳造欠陥を最小限に抑える役割を果たします。
ゲートの配置とその影響
ゲートの配置は、製品の最終的な品質に大きな影響を与えます。ゲートが不適切な位置に設置されると、溶融金属の流れが乱れ、気泡や充填不良、金属の凝固が不均一になる可能性が高まります。これにより、鋳巣やヒケといった鋳造欠陥が発生しやすくなります。
適切なゲートの配置を行うことで、溶融金属がスムーズに金型内に流れ、全体に均一に充填されることが可能になります。特に複雑な形状や薄肉部品においては、ゲートの位置と数を慎重に設計し、金属が最後までスムーズに流れるようにすることが不可欠です。また、部品の仕上げ時にゲート跡を目立たせないための配置も重要です。
ゲートサイズと流動解析のポイント
ゲートサイズは、溶融金属が金型に流れ込む速度と圧力を決定するため、設計の際に慎重な計算が必要です。ゲートが小さすぎると、金属の流動が不十分になり、充填不良や冷却の不均一さが生じやすくなります。一方、ゲートが大きすぎると、異物の流入やゲート欠け込み(身喰い)、後工程(仕上)性の悪化、ゲート切断がしづらくなるなどの不具合が発生する恐れがあります。
流動解析ツール(CAE解析)を用いて、ゲートサイズと流速をシミュレーションすることが推奨されます。これにより、製品の最終形状に最も適したゲート設計を行い、充填不良や気泡、ピンホールなどの鋳造欠陥を防止することが可能になります。特に薄肉部品や高精度を求められる製品では、流動解析によってゲートサイズを調整し、均一な流れを確保することが重要です。
ダイカスト金型の設計のポイント② 冷却回路設計
ダイカスト金型設計において冷却設計は、製品の品質や金型の寿命に直接影響を与える非常に重要なプロセスです。冷却が不適切だと、製品に歪みやヒケなどの鋳造欠陥が発生するほか、金型自体の寿命が短くなるリスクがあります。冷却設計は、効率的な熱管理と安定した製品生産を実現するための鍵となります。
冷却回路の設計とは
冷却回路は、金型内部に設置される冷却水の流れる経路であり、これを適切に設計することで金型寿命に大きな影響を与えます。冷却回路の設計においては、金型の形状や製品の構造を考慮し、過熱が発生しやすい部分を重点的に冷却する必要があります。特に、溶融金属が最も流れる部分や凝固の遅い部分は、冷却を強化する設計が求められます。
冷却回路が適切に配置されることで、金型の表面温度が均一に保たれ、これにより熱膨張や収縮が抑えられます。この結果、金型の摩耗やひび割れが減少し、結果的に金型の寿命が延びます。逆に、冷却が不十分な場合は局所的な熱が蓄積し、金型が変形したり、早期に寿命を迎える原因となります。
熱管理の重要性
ダイカスト工程においては、熱管理が製品の品質に大きく関わります。溶融金属が金型内で冷却される過程は、製品の内部組織や表面仕上げに直接影響を及ぼします。そのため、冷却材の選定は非常に重要です。一般的には水が冷却材として使用されますが、特殊な素材や高温環境下では、冷却オイルや他の冷媒が使用されることもあります。
ダイカストなら一気通貫で対応可能ならOEM・EMSパートナーズ.comにお任せ!
ダイカスト金型の内製が可能な日東電気であれば、お客様のご要求をクリアする金型の設計・製作から、量産品の製造まで一気通貫で対応させて頂くことが可能です。
大手自動車メーカー向けに高品質なダイカスト品をお納めし、信頼を頂いている当社は豊富な納入実績により培われた高い技術力を有しております。
お客様のご要求をクリアする金型の提案から、QCDに優れた量産対応まで安心してお任せください。