ダイカストの湯回り不良とは?原因と対策を解説いたします!

ダイカストは、溶かした金属を金型に流し込んで製品を作る、効率的な製造方法です。しかし、溶けた金属が金型に行き渡らない「湯回り不良」が起こると、製品の品質が低下したり、不良品が増えてコストがかかったりすることがあります。
金型の設計や材料の選択、鋳造の条件などを適切に管理することで、湯回り不良を減らすことができます。
OEM・EMSパートナーズでは、長年の経験と実績をもとに、高品質なダイカスト製品を提供しています。
本記事では、ダイカストの湯回り不良の原因や対策、そしてOEM・EMSパートナーズの取り組みについて詳しく解説します。
ダイカストの品質でお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。
湯回り不良とは?
ダイカスト鋳造における「湯回り不良」とは、溶融金属(溶湯)が金型内に適切に行き渡らず、製品の特定部位に充填不足が発生する鋳造欠陥の一種です。この欠陥が発生すると、鋳造品に気泡や空洞ができたり、強度が不足したりするため、製品の品質に大きな影響を及ぼします。
湯回り不良が発生する主な要因
湯回り不良が発生する原因として、いくつかの要素が考えられます。
1. 溶湯の流動性不足
溶湯の温度が適正範囲より低いと、金型内で流動性が低下し、細部にまで行き渡らなくなります。また、使用する合金の種類によっても流動性が異なり、不適切な材料選定が影響を及ぼすことがあります。
2. 充填速度と圧力の管理不足
圧力が不足していると、金型の細かい部分まで充填されず、欠陥が発生します。一方、圧力が高すぎると、巻き込み巣などが発生する可能性があります。
3. 金型設計の問題
ランナーやゲートの設計が適切でないと、溶湯の流れが均一にならず、一部で充填不足が発生する恐れがございます。また、ガス抜きが不十分な場合、ガスの逃げ場がなくなり、重点不足の原因になります。
4. 製品設計の問題
また、湯流れ不良が発生する要因として、製品設計の問題もございます。例えば、製品の厚みが不均一であると、厚肉部と薄肉部で凝固速度が異なり、薄肉部に湯回り不良が発生しやすくなります。特に薄肉部では溶湯が充填される前に凝固してしまうことが多く、不完全な成形につながります。
また、抜き勾配が適切に設定されていないと、金型内部で溶湯の流れが妨げられ、局所的な充填不良が発生します。また、離型性の低下にもつながり、製品表面に欠陥が生じる要因となります。
湯回り不良と他の鋳造欠陥の違い
湯回り不良はダイカストにおける重要な品質課題の一つですが、他の鋳造欠陥と混同されることがあります。例えば、引け巣は凝固時の体積収縮によって発生する内部空洞であり、ピンホールは溶湯に含まれるガスが冷却時に気泡として残る現象です。また、kこれらの欠陥と区別しながら、湯回り不良の具体的な対策を講じることが重要です。
>>ダイカストで発生する引け巣のメカニズムと対策を徹底解説!
ダイカストの湯回り不良による影響
ダイカストの湯回り不良は、以下のような様々な影響を及ぼします。
製品品質の低下
湯回り不良が発生すると、製品の強度や精度が低下し、外観不良や機能不良の原因となります。
また、コールドシャットが発生した場合、製品が割れたり、変形したりしやすくなります。
その他にも、ガス巻き込みは気泡による強度低下や外観不良を引き起こし、湯じわは表面の凹凸による精度低下や外観不良を引き起こします。
生産性の低下
湯回り不良が発生すると、不良品の発生率が高くなり、生産性が低下します。
不良品を廃棄したり、修正したりする必要があるため、時間やコストが無駄になります。
また、湯回り不良の原因を特定し、対策を講じるためには、生産ラインを停止する必要が生じる場合もあり、生産計画に影響を及ぼす可能性があります。
コストの増加
湯回り不良が発生すると、不良品の発生率が高くなるため、材料費や加工費などのコストが増加します。
また、不良品を修正するために、追加の工程が必要になる場合もあり、人件費や設備費などのコストも増加する可能性があります。
湯回り不良を未然に防ぐためには、いくつかの対策を講じることが有効です。
湯回り不良を防ぐための対策
温度管理の最適化
溶湯温度を適正範囲に保つことで流動性を確保し、金型温度の調整によって均一な充填を実現することが重要です。
適切な圧力と充填速度の設定
適切な射出圧力と速度を設定することで、安定した充填を実現できます。圧力のバランスを調整し、巻き込み巣のリスクを低減することも大切です。
金型設計の最適化
ランナーやゲートの設計を見直し、溶湯の流れを均一にすることで、充填不足を防ぐことができます。
材料選定と合金の適用
流動性の高い合金を選定することで、充填性を向上させることができます。特定の合金に適した鋳造条件を設定し、欠陥の発生を最小限に抑えることも重要です。
これらの対策を組み合わせることで、湯回り不良のリスクを大幅に低減し、安定した品質のダイカスト製品を製造することが可能になります。
>>不良を抑える!高気密なダイカスト製品製造のポイントとは?
製品設計の最適化
製品形状に合わせて、均等な肉厚を確保するための適切な肉盗みの配置や、角に可能な限り最大のRを付加する、抜き勾配や抜きテーパーの設定などを設定することによって、湯流れ不良を対策することが可能です。
日東電気ならではの鋳造欠陥対策・品質管理体制
日東電気はダイカスト製造にあたって、鋳造欠陥を防ぐため、鋳造シミュレーションシステムによる解析や、徹底した鋳造プロセスの管理体制で安定した品質のダイカストを実現しております。
鋳造シミュレーションシステムによる原因分析

日東電気は鋳造シミュレーションシステムを導入しており、湯流れ解析、凝固解析、金型温度解析といった鋳造解析を行う体制を構築しております。鋳造欠陥が発生してしまっている金型に対して、湯流れ解析を行うことで、鋳型内に注湯される溶湯の流れを解析し、充填状態や圧力、温度変化を可視化することができます。それらの解析情報を分析することによって最適なランナー方案を提案いたします。
また、凝固解析では、鋳型内に充填された金属の凝固過程を解析を行うことで、凝固時の溶湯の体積変化や鋳型内のガス流れを予測することができます。それらの解析結果を踏まえて、最適な空気の逃げやガス抜き方案の設計を実現いたします。
充実したIoTによる鋳造プロセスの管理体制


日東電気は充実したIoTによる鋳造プロセスの管理体制を構築しております。溶湯温度と金型温度を適切に管理することによって、鋳造中の急激な温度変化を防ぎ、温度変化を起因とする鋳造欠陥を対策することで鋳造プロセスの安定性を実現しております。加えて、前述のシミュレーションシステムによる性能試験を行い、常に安定した品質の製品を送り出しています。
OEM・EMSパートナーズ.comのダイカスト製造
鋳造~検査まで 一気通貫の製造体制

当社の一番の特徴は、鋳造・加工・組付・検査までを当社のみで、一気通貫で対応できる点です。通常であれば複数の製造先に依頼をするような製品も、一気通貫で対応することで、厳しい要求品質の製品も基準をクリアして製造することが可能です。また、個別溶解炉や最新のNCマシン・マシニングセンターを有しておりますのでお客様の個別にご要望にも柔軟に対応し、お困りごとを解決いたします。
個別溶解炉による異種材対応&小ロット対応

当社は個別溶解炉を採用しております。個別溶解炉は一度に少量の材料しか溶かさないため、個別の生産に向いています。そのため異なる種類の材料を処理する際に向いており、異なる合金を組み合わせることで特性に優れる材料を作製できます。また、溶かす対象物が個別となると、熱効率が良く、プロセスの制御も容易になるため、安定した品質のダイカストが可能です。
複雑形状・多工程品の圧倒的なQCD対応

当社は、長年にわたり自動車メーカー様の厳しい要求にお応えしてきた、確かな実績と高い技術力を有しております。複雑な形状を有した製品や、数十工程にも及ぶ多工程品であっても、一気通貫対応によるQCDに優れた製造が可能です。過去には300点にも及ぶ組付品の対応実績もございます。
軽量化や工法変換といったお客様のプラスになる付加価値提案も強みとしておりますので、ご要望以上の対応を実施させていただきます
金型内製によるスピーディな立ち上げ

当社では、自社工場内で金型の設計・製作が可能です。同一工場内で金型の設計・製作から、製品の製造まで実施しておりますので、金型の改善が必要な難易度の高い製品であっても、緻密な連携によりスピーディに対応することが可能です。製造と金型両面のノウハウを活かしてお客様に最適なご提案を実施します。
ダイカスト事例
続いて、実際に当社が製造したダイカスト製品の事例をご紹介いたします。
オイルパン

従来からお取引のあるお客様から農機具用のオイルパン部品のご相談を頂きました。
特徴としては、300 x 400 x100と比較的サイズが大きく、鋳抜き穴数が多い点が挙げられます。
ダイカスト製品の引け巣でお困りの方は、OEM・EMSパートナーズ.comまで!
当サイトを運営する日東電気グループでは、自動車部品メーカー様向けに長年製品をお納めしてきた確かな実績から、ダイカスト製品の製造実績と成形不良改善のノウハウが豊富にございます。高い技術力と、不良調査から改善まで一気通貫で対応可能な生産体制を活かしてQCDに優れたダイカスト製品の製造が可能です。
ダイカスト製品の鋳巣不良でお困りの方は、OEM・EMSパートナーズ.comまでご相談ください。

また、OEM・EMSパートナーズ.comではこの他にもダイカストについてのお役立ち情報を掲載しております。
>>ダイカストで発生する引け巣のメカニズムと対策を徹底解説!