ダイカストにおける鋳巣不良の原因と対策を徹底解説！

この鋳巣はダイカストの不良要因となり、ダイカスト鋳造品の品質が下がってしまいます。そのため、ダイカスト鋳造の現場では、鋳巣の対策が必須となっております。今回は、鋳巣の概念、原因、与える影響、そして鋳巣不良に対する効果的な対策について徹底解説します。

鋳巣とは

鋳巣は、金属の鋳造過程で生じる空洞や気泡のことを指します。鋳巣には主に3つの種類があり、その種類に合わせた対策が重要となってきます。鋳巣は、製品の内部や表面に現れることがあり、見た目だけでなく強度にも影響を与えるため、品質管理上重要な問題となります。

鋳巣の種類とその原因

ヒケ巣

ヒケ巣は、金属の溶湯が冷却収縮する際に内部や表面に生じる小さな凹みや空洞です。主に材料の不均一な冷却や圧力不足、型の設計不備により発生し、製品の外観や強度に影響を与えます。溶湯を冷却すると固体凝縮が進むため、凝固した分の溶湯を補うため、液体側から溶湯が補給されます。凝固によって溶湯の補給が出来なくなったタイミングで、凝固による体積の縮小分がヒケ巣となります。

ガス巣

ガス巣とは、ダイカスト成形時に発生したガスが製品内部に残留したことによりできた空洞のことをさします。主な原因は、材料内の水分やその他揮発性物質が高温で蒸発しガスを発生させること、鋳造材料や成形材料が適切に脱ガスされていないこと、または金型内でのガス排出が不十分であることによります。これらのガスが材料内部に閉じ込められ、冷却固化する過程でガス巣として現れ、製品の機械的強度や外観品質に悪影響を及ぼします。

巻き込み巣

巻き込み巣は、金属の流れが乱れたまま成形をすることによって生じた空洞のことを指します。シワが重なったように見える巣が特徴です。主な原因は、溶湯が型内を高速で流れる際に、空気やガスが溶湯の流れに巻き込まれた状態のまま溶湯が凝固することによってガスの逃げ場がなくなることで発生します。特に、金属の注入速度が不適切であったり、型の通気が不十分である場合に多く見られます。また、型内の温度分布が均一でない場合や、金属の流れを妨げる型設計も巻き込み巣の原因となり得ます。

鋳巣不良が与える影響

鋳巣不良は、製品の機械的強度を低下させ、耐久性にも悪影響を及ぼします。特に、安全性が重要視される自動車部品や航空機部品などでは、鋳巣の存在が重大な問題となり得ます。また、表面に鋳巣が現れた場合、見た目の品質が低下し、塗装や加工時の問題を引き起こすことがあります。これらの問題は、製品の信頼性低下やリコールの原因となり、企業のブランド価値にも影響を与えかねません。

鋳巣不良の対策

鋳巣不良を防ぐためには、鋳巣の種類や発生要因に合わせた対策を取ることが重要です。

ヒケ巣

ヒケ巣は、前述の通り、凝固時に湯口から溶湯の補給が出来なくなってしまうことによって発生してしまいます。そのため、溶湯の補給がしやすいように、湯口の大きさや位置を適切にした最適な金型設計が重要となります。また、厚肉部のある場合のダイカスト成形は凝固に時間がかかってしまうため、ヒケ巣が発生しやすいです。そのため、肉厚を均一にして厚肉部を減らす製品設計をすることで対策が可能です。

ガス巣

ガス巣は、ガスが内部に残留したまま溶湯が凝固することによって発生します。そのため、ガスの発生要因である潤滑剤や離型剤の使用量を減らすことでガスそのものの発生を抑えることが重要です。また、ガスベントを追加したり、大きくすることによってダイカスト金型の排気性を高めることで対策することも可能です。

巻き込み巣

巻き込み巣は、空気やガスが溶湯の流れに巻き込まれた状態のまま溶湯が凝固することによって、ガスの逃げ場がなくなって空洞になることで発生します。そのため溶湯の流れ（湯流れ）を改善することによって空気がガスが湯流れから逃げやすくすることが重要です。製品形状や鋳造条件を見直して湯流れを改善しましょう。

ダイカストの鋳巣不良改善に関する事例

続いて、実際に当社がダイカスト製品の鋳巣不良を改善した事例をご紹介いたします。

オイルパン

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