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基礎知識

共晶はんだとは?現在も共晶はんだが必要な理由とは?

共晶はんだ

共晶はんだは、Sn(錫)63%とPb(鉛)37%の合金で構成されたはんだです。

ひと昔前までは、基板実装には鉛を含む「共晶はんだ」が一般的に使われていましたが、環境面への影響から、2000年以降に鉛を含まない「鉛フリーはんだ」が誕生し、現在は鉛フリーはんだが主流のはんだとして幅広く使用されています。

しかし性能面や信頼性の観点から、共晶はんだが必要な分野はいまも残っています。

ここでは、共晶はんだの概要から成分組成、鉛フリーはんだが広まった背景と現状、それでも共晶はんだが必要な理由、そして共晶はんだによる基板実装のポイントから、実際に当社で設計・実装した基板事例まで、まとめてご紹介いたします。

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共晶はんだとは?

共晶はんだ

共晶はんだ(読み方:きょうしょうはんだ、英語:eutectic solder)は、主に錫(Sn)と鉛(Pb)の合金から構成されています。

一般的な共晶はんだの組成は、錫と鉛がおよそ6:4の比率で成分が混合されています。共晶とは、二成分以上を含む液体から同時に析出する結晶の混合物という意味です。

このため、錫と鉛の2種類の金属で構成されたはんだを共晶はんだと呼びます。

共晶はんだの組成

共晶はんだは、Sn(錫)63%とPb(鉛)37%の合金で構成されています。Sn(錫)が100%の場合の融点は232℃、Pb(鉛)が100%の場合の融点327℃です。しかし錫と鉛の合金である共晶はんだになると、融点が183℃まで低くなり、金属としては融点が低く加工がしやすくなります。

共晶はんだの成分

また、共晶はんだは鉛が含有されていることにより、柔らかい鉛が応力を緩和させる効果を有しています。そのため、はんだ付けの信頼性が高いとされています。

このような理由から共晶はんだは、ロケットや車載などの電子機器など、極めて信頼性が求められる電子機器のはんだ付けにおいて、現在でも使われています。

共晶はんだ歴史と現状

ひと昔前までは、基板実装には鉛を含む「共晶はんだ」が一般的に使われていました。しかし1990年代に入り、廃棄された家電製品など電子機器のはんだ付け材料(実装基板)から、酸性雨により鉛(Pb)が溶け出し、地下水を汚染する問題が起こりました。

鉛は、人体に入ると中毒症状を起こし、胎児に至ってはその影響が大きいことで知られており、鉛は 一度人体に入ると排出されにくい性質があります。

そのため、2000年以降、鉛を含まない「鉛フリーはんだ」が誕生しました。このような流れの中、欧州連合(EU)では、法律である「RoHS指令」を2006年7月1日に制定し、電子・電気機器への鉛の使用が 原則禁止 されました。(RoHS指令では、鉛のほかに水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテルの使用も禁止しています。)

鉛フリーはんだとは?

鉛フリーはんだは、環境保護のために開発されたはんだであり、主に錫(Sn)と銀(Ag)、または銀(Ag)と銅(Cu)などの合金から成分が構成されています。鉛フリーはんだ(Pbフリーはんだ)は、RoHS規制によって開発が進められたはんだです。RoHS規制は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、有機ハロゲン化物などの物質の使用を制限し、環境への影響や人体への健康リスクを低減することを目的としています。特に電子機器については、欧米で使用される電子部品に一定以上の鉛を含んでいるものは流通させることができないという厳しい規制になったため、鉛フリーはんだが採用される製品も増えてきました。

鉛フリーはんだの成分

当初は様々なトラブルが頻発しましたが、現在は共晶はんだに取って代わる存在となっています。

鉛フリーはんだと共晶はんだは、各々が異なる特徴を持ち、異なる用途に向いています。環境への影響を最小限に抑えたい場合や高温環境下での使用が求められる場合には、鉛フリーはんだが適しています。ただし鉛フリーはんだは、共晶はんだの2,3倍のコストがかかるとされており、また融点も高いため、製造コストは時間的にも費用的にもかかってしまいます。

それでも共晶はんだが必要な理由とは?

上記の通り、共晶はんだと鉛フリーはんだを比較すると、環境面を考慮して鉛フリーはんだが選択されることが多くなりますが、共晶はんだが必要な分野はいまも残っています。

特に性能面において、共晶はんだは鉛フリーはんだを大きく凌駕します。まず共晶はんだは鉛を含むため低融点であり、はんだ付けが比較的容易で制御しやすくなります。そのため、手動はんだ付けの場合には優れた選択肢となります。この扱いやすさは共晶はんだの大きなメリットになります。

また、共晶はんだ中の鉛は、接合強度や耐振動性を高める効果があるため、優れた信頼性を有します。この信頼性によって共晶はんだが選択されることも多く、共晶はんだのメリットの1つとして挙げられます。

つまり、鉛が入ることによる低融点での取り扱いやすさや、鉛による接合強度・耐振動性の向上が見込めるため、高度な信頼性が要求される場面、例えばロケット航空宇宙車載鉄道などの電子機器のはんだ付けにおいて、現在も共晶はんだが重宝されています。

日東電気ならではのはんだ付けとは?

当サイトを運営する日東電気では、鉛フリーはんだと共晶はんだ、どちらにも対応をしております。

多種多様なはんだプロセスへの対応力

日東電気では、様々なはんだ付けに対応しており、お客様のご要望に応じて最適なはんだ工程や基板実装方法のご提案を行っております。

はんだ付けには大きなプロセスとして、

  • リフロー実装工程表面実装(いわゆるSMT実装)
  • フローはんだ工程ソルダーリング装置やはんだ付けロボットを用いる
  • マニュアルはんだ工程人の手を介して行う

という3種類のはんだ工程があります。当社ではすべてのはんだ工程に問題なく対応しております。

鉛フリーはんだラインと共晶はんだラインにおける徹底したコンタミ防止

当社では鉛フリーはんだと共晶はんだ、どちらもラインを構築しておりますが、各ラインを別々に構築・管理しており、徹底したコンタミ防止対策を施しております。先述の通り、鉛フリーはんだは、RoHS規制によって開発が進められたはんだです。そのため、一定以上の鉛を含まないようにする必要があり、生産ラインにおいても対策が必要となります。共晶はんだと鉛フリーはんだを同じラインで実装すると、どうしてもコンタミが発生しかねません。

しかし当社では、共晶はんだは共晶はんだ専用のラインで基板実装を行っており、ライン単位で徹底したコンタミ防止対策を取っております。

現在は鉛フリーはんだを選択する電子機器も多くなっていますが、当社では現在でも共晶はんだのご依頼を多くいただいております。

>>共晶はんだ実装で必要不可欠なコンタミ防止対策

共晶はんだの基板設計・実装に関する実績とノウハウ

共晶はんだ基板は、発電、鉄道関係、船舶、などの公共事業・インフラ設備に関わる分野で多く使用されています。高い信頼が求められるため、高精度な基板実装が必要となります。

日東電気では、これまでに上記のような公共・インフラ設備向けに数多くの共晶はんだの基板設計・実装を行った実績がございます。この実績と培ってきたノウハウこそが、当社が共晶はんだの基板設計・実装で選ばれる理由の1つです。

日東電気ならではのプリント基板 設計・実装

当サイトを運営する日東電気では、これまでに数多くのプリント基板の設計・実装を行ってまいりました。日東電気だからこそ可能なプリント基板の設計・実装としては、下記のような特徴があげられます。

プリント基板の設計・実装に関する圧倒的な実績

これまでに日東電気では、様々な業界のお客様に向けて、多種多様なプリント基板の設計・実装を行ってきました。プリント基板の種類としては、ガラスコンポジット基板のCEM-3、ガラスエポキシ基板のFR-4が実績の大半を占めますが、高機能特性を持つテフロン基板・セラミック基板も実績としてございます。また最近では余り出回りませんが、紙フェノール基板の実装も対応しております。

混載実装への対応力

現在は電子機器も高機能化されており、その数量も増えていることから、生産性や低コストを重要視され、特に量産工程では表面実装が多く採用されています。一方で挿入実装は信頼性が高くストレス耐性も高い用途で必要とされます。

この両方を兼ね備えたのが、混載実装です。混載実装は、同一基板上でスルーホール(IMT、DIP)実装と表面(SMT)実装の両方を実施する実装方法です。表面実装と挿入実装では、実装できる部品が異なるため、多様な部品の実装が求められる場合に混載実装が使用されます。表面実装と挿入実装のどちらも必要な混載実装は、信頼性が高くストレス耐性も必要な製品を、なるべくコストを抑えつつ量産が必要な製品に採用されます。

そして当サイトを運営する日東電気は、混載実装の実績を数多く有しており、また混載実装の前工程であるアートワーク設計から、後工程の筐体設計・製造まで、ワンストップで対応しております。

リスクを徹底的に排除するVE提案

お客様が不安に思われる防水や火災などの機能面のリスクを徹底的に排除するためのVE提案や対策についても積極的にご提案を行い、エラーが生じない、万が一生じてもすぐにエラー発見できるEMS生産体制を構築いたします。UL規格、IEC規格、EMC規格、PSEマーク、S-JET認証、RoHS指令、系統連系保護装置等認証、第三者認証制度、JQA(日本品質機構)など、各種規格や制度に則って、安心いただける電子機器EMSメーカーとして基板設計・実装を行っております。

工程FMEAにも対応

当社ではお客様のご要望に合わせて、工程FMEAにも対応しております。FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)は、製品やプロセスにおける各種の障害や故障の可能性を予測し、その結果に対する影響を定量的に評価する手法です。FMEAは、日本語では故障モード影響解析と呼ばれます。製品の設計段階からプロセスの改善後まで、あらゆる段階での障害や故障のリスク評価を行い、予防的な対応策を立てることで、製品やプロセスの品質を向上させることができます。

基板関連部品の調達力・在庫力

基板実装には様々な電子部品が必要となりますが、当社では電子機器メーカー様の調達代行という側面も持っており、お客様に代わって基板周辺部品の自社調達も行っております。

OEM EMS 部品調達

コイルや抵抗、ハーネスなどの電子部品から、プラスチック筐体、板金筐体などの組立工程に必要な部品まで、すべて調達いたします。

基板設計・実装に関する技術提案事例

続いて、実際に当社でご提案した、基板設計・実装技術提案事例です。

ロボットはんだ付けによる基板実装で生産性向上&品質向上

はんだ付けロボット

大手自動車メーカーのお客様から、ピン数の多いコネクタはんだ付けを伴う基板実装のご相談をいただきました。ピン数が多くなればなるほど工数はかかりますが、手作業で実施するとどうしても品質のバラツキやヒューマンエラーが生じてしまいます。

そこで当社では、ロボットはんだ付けによる基板実装のご提案をいたしました。当社ではJAPANUNIX製のはんだ付けロボットを2台保有しており、数量やはんだ付けの内容に基づいてご提案をしております。

人的作業からロボットによるはんだ付け作業に変更することで…

基板設計・実装に関する製品事例

続いて、実際に当社が製作した基板設計・実装に関する製品事例をご紹介いたします。

モバイルカー向け基板&ダイカスト筐体組立実装

01_モバイルカー向け基板&ダイカスト筐体組立実装

こちらは次世代モバイルカー向けの基板&ダイカスト筐体組立実装事例です。基板サイズは200×200、製品サイズは500×500×200で、100個/月の量産品でした。

次世代モバイルカー開発の担当者から直接お問い合わせをいただき、回路図はお客様にて作成・支給いただきました。当社の小山工場でアートワーク設計から基板実装、ハーネス加工まで対応し、水戸工場でダイカストケース製造(金型はお客様より支給)を実施いたしました。その後、組立から電気検査までワンストップで対応いたしました。

リチウムイオン蓄電システム

07_太陽光蓄電装置 リチウムイオン蓄電システム

こちらは家庭用リチウムイオン蓄電システムです。基板サイズは330×250、製品サイズは530×650、200台/月のロット数でEMS生産いたしました。

お客様より詳細仕様をいただき、当社では基板アートワークの設計段階から携わらせていただきました。基板アートワークでは、電流容量を必要とする厚銅パターンであったため、はんだ上がりに配慮した設計が必要でした。装置組立では、現場の作業性を考慮した板金部品のVE提案を行うだけでなく、組立の要求仕様に従って組立用治具を考案・設計・作製も行いました。また本製品は防水が必要な製品だったため、要所にコーキングを実施し、さらに塗布量をコントロールするためにディスペンサを使用して塗布を実施いたしました。

シニアカー用インバーターユニット

04_シニアカー用インバーターユニット

こちらはシニアカー用インバーターユニットです。基板サイズは180×150、製品サイズは230×200で、100個/月の量産品でした。

シニアカーの開発担当者の方からご相談をいただき、当社の小山工場でアートワーク設計から基板実装、ハーネス加工まで対応し、水戸工場でダイカストケース製造(金型はお客様より支給)を実施いたしました。その後、組立から電気試験までワンストップで対応いたしました。

水素発生装置制御ボックス

19_電源装置筐体組立 水素発生装置制御ボックス

こちらは水素発生装置制御ボックスです。基板サイズは330×250、製品サイズは900×850、5台/月のロット数でOEM生産いたしました。

エンドユーザーは大手自動車メーカーで、大手電源メーカーによって製品設計されたOEM製品でした。エンドユーザーのプロジェクトご担当者様が小型ジェット旅客機製造にも携わっていらっしゃったこともあり、工程FMEA段階からの生産についてご要望をいただきました。

当社にて基板アートワーク設計を行い、筐体の板金部品設計においては組立効率化を目的としたVE提案を当社から実施いたしました。基板アートワークでは、電流容量を必要とする厚銅パターンであったため、はんだ上がりに配慮した設計が必要な基板でした。またピン数の多いコネクタはんだ付けが必要であったため、今回はロボットはんだ付けにて対応することで、精度と生産性を両立させました。ロボットはんだ付けや装置組立では、はんだ付けや組立の要求精度に従って、当社にて組立用治具を考案・設計・作製いたしました。

油圧制御ユニット

油圧制御ユニット

こちらは油圧制御ユニットです。基板サイズは100×50、製品サイズは150×70、400台/月のロット数でOEM生産いたしました。

成型機やプレス機に用いられる油圧制御ユニットで、お客様から基板回路や製品の設計をいただき、当社は基板実装用の治具製作から携わっています。

お客様による基板仕様に従って最適なはんだ量を確保するために、メタルマスクの開口設定に工夫を凝らしました。実装工程において、SMT工程では、各部品の実装要求に沿って実装条件やリフロー条件を設定し、IMT工程では、DIPパレットを自社で作製し、自動はんだ槽によって手挿入部品のはんだ付けを対応いたしました。

基板設計・実装のことなら、OEM・EMSパートナーズ.comまで!

当サイトを運営する日東電気グループでは、基板アートワークの設計から混載実装、各種検査までをワンストップで対応しております。国内大手メーカー様の基板設計・実装工場として、当社をOEM・EMS先に選定いただきましたら、お客様のパートナー企業として様々な角度から技術提案をいたします。さらに当社では、部品の調達からアセンブリの工程管理まで、すべて請け負いますので、お客様の調達・管理コストの低減にも努めます。

基板設計・実装のことでお困りの方は、OEM・EMSパートナーズ.comまでご相談ください。

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