抜き勾配
抜き勾配とは、射出成形されたプラスチック製品を金型からスムーズに傷なく取り出す(離型させる)ために、金型の開閉方向に対して、製品の立ち上がり面(側面やリブの壁面)にあらかじめ設けておく、わずかな「傾き(傾斜角度)」のことです。プラスチック樹脂は冷えて固まる際に金型を締め付けるように収縮するため、壁面が完全に垂直(0度)のままだと、離型時に強い摩擦が生じて製品表面に擦り傷(カジリ)が付いたり、製品が歪んで変形したり、最悪の場合は金型から完全に抜けなくなります。最適な抜き勾配の角度は、製品の深さ、樹脂の種類(収縮率の違い)、および製品表面の意匠(高級感を出すためのザラザラした「シボ加工」の有無など)によって異なり、通常は0.5度〜2度程度、深い製品やシボ加工がある場合はさらに大きな傾斜角度が必要となります。製品の美観と機能を損なわない範囲での緻密な角度設定が求められる重要な設計要素です。
日東電気グループでは、医療機器向けのトップケース/ボトムケースや、特装車用の防水・防塵ケースなど、外観品質と寸法精度が極めてシビアに要求される筐体プラスチック成形において、最適な抜き勾配の設計提案を得意としております。
お客様から製品データをいただいた際、成形不良のリスクを事前にリストアップするVA/VE提案を実施し、外観デザインを維持しつつ確実に離型できる最適な抜き勾配を金型設計に織り込んでいます。
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